小さいおじさん
ある時、友人との雑談の中で、幼い頃「小さいおじさん」を見たことがあるという話になった。
「へー ほんとかなー」と適当に返事をしていると、
「間違いなく、見た。」「小学校の低学年の頃。」と急に熱く離し始めた。
なんでも、机の上に置いてあるコーヒーカップを引っ張って動かそうとしていたそうだ。
「小さいおじさんの身長はどの位なの?」と聞くと、
親指と人差し指を広げて、「この位。」と言う。
大体、10センチから15センチくらいだろうか。
「どんな服装をしていたの?」
「スーツにネクタイ姿。」
「コーヒーカップって高さどの位?」と聞いてみたら、
「小さいおじさんと同じ位の高さ。」
「じゃ、自分の身長と同じ位のコーヒーカップを引こうとしていたの?」
「そうだよ。」と返事。
「何してたのかな?そのコーヒーカップは動かせたの?」
「いや、動かせないで、ただ、取っ手を引っ張ってた。最初、このおじさん何してんのかなと、ずーと見
てたら、私に気が付いて、目と目が合った。慌てて誰か呼ぼうと思って後ろを向いて、また机を見たら、
いなかった。」
「目の錯覚じゃなかったよ。」
「その他にも、タンスの引き出しを引いた時にも、小さいおじさんがいたことがあった。」
「2回も見たの?」
「タンスの時は、怖くなって、慌てて引き出しを閉めた。もう一度引き出しを引いて中を見たらいなかった。」
「ほんとかなー」と半信半疑な俺。
その友人は、普通の道徳観も社会人としての倫理観もあり、嘘をつく人ではない。
世の中いろんなことがあるのかなと、思うこの頃。